KCMG · 2026 SUPER FORMULA 第3戦/第6戦/第7戦 富士大会レースレポート

ピットレーンに並ぶ#9アレジ(手前)と#8山下(奥)/富士スピードウェイ
前戦鈴鹿から約2ヶ月、そして第2回合同テストから約2週間のインターバルを経て、シーズンの折り返しとなる第6戦・第7戦、加えて悪天候によって決勝が中止となったオートポリスの代替戦・第3戦が富士スピードウェイを舞台に開催された。
今大会より9号車のドライバーには、合同テストでチームが予定していたテストプログラムを着実に遂行し多くのデータを収集したジュリアーノ・アレジを起用。3年ぶりのスーパーフォーミュラ復帰戦となった。なお、第3戦はオートポリスで実施された公式予選の結果により出場資格を有する野中誠太が9号車で出走し、今後はKCMGのリザーブドライバーとしてチームに帯同する。
また、今大会のスポットスポンサーとして、冷蔵庫・冷凍庫・洗濯機など大型家電グローバルシェアNo.1の「Haier(ハイアール)」からご支援をいただき、イベントブースではコラボレーションブースを出展。KCMGのカラーリングが施された家電などが展示された。1大会で3レースが実施されることに加え、併催のKYOJO CUPにも4台体制で参戦するKCMGにとっては非常にタフなレースウィークとなるが、後半戦で巻き返しを図るべく気合十分で富士に挑んだ。

1大会3レース+KYOJO CUP併催のタフなウィークを戦ったKCMGチーム
早朝の霧が晴れた8時15分、気温23度・路面温度26度、ウェット宣言が出されたものの雨はすでに止み、路面の水が少ないコンディションで予選Q1A組がスタート。#8 山下健太はニューのウェットタイヤに履き替えて再びコースへ入り、計測2周目にアタックしたが難しい路面コンディションに苦戦、9番手(1’34.933)でQ1敗退となった。
5分間のインターバルを経て8時30分にB組がスタート。天候は回復傾向にあり路面は次第に乾いていくが、スーパーフォーミュラ復帰戦となる#9 ジュリアーノ・アレジを含む全車がウェットタイヤを装着してアタックへ。残り時間2分で再度コースインしたアレジは計測2周目に1’34.720をマークしたものの、12番手でQ2進出は叶わなかった。第6戦のスターティンググリッドは、山下が18番手、アレジが23番手となった。
| ドライバー | セッション | 順位 | タイム |
|---|---|---|---|
| #8 山下 健太 | Q1A組 | 9位 | 1’34.933 |
| #9 ジュリアーノ・アレジ | Q1B組 | 12位 | 1’34.720 |
第6戦予選終了から1時間35分のインターバルを経て、第7戦の予選が10時35分にスタート。この頃には陽射しが届いて路面はドライに転じ、気温は26度・路面温度は30度まで上昇した。A組に振り分けられた山下はニューのスリックタイヤを装着してコースに向かったが、コース上にストップ車両が発生したため残り時間4分を切ったところで赤旗中断。10時46分、残り時間3分33秒でセッション再開し、計測2周目に1’23.973をマーク、3番手で見事Q2進出を果たした。
5分間のインターバルを経て、B組は当初の予定より5分遅れの10時55分にスタート。ニュータイヤを装着したアレジは計測3周目にアタックを開始したが、なかなかセットアップを煮詰めきれない中で11番手(1’24.207)に留まりQ1敗退となった。
10分間のインターバルを経て、11時15分からQ2がスタート。今季2度目のQ1突破でここから勢いに乗りたい山下は、ユーズドタイヤでマシンとコースの状態を確認すると一度ピットに戻り、ニュータイヤを装着して計測4周目にアタック開始。先日の合同テストからエンジニアリング面での着実な改善の手応えを感じている山下は今季ベストグリッドとなる7番手タイム(1’23.611)を叩き出した。第7戦のスターティンググリッドは、山下が7番手、アレジが21番手。シーズン序盤から苦戦が続いていたKCMGに、確かな明るい兆しを見せる結果となった。
| ドライバー | セッション | 順位 | タイム |
|---|---|---|---|
| #8 山下 健太 | Q1A組 | 3位 | 1’23.973 |
| #8 山下 健太 | Q2 | 7位 | 1’23.611 |
| #9 ジュリアーノ・アレジ | Q1B組 | 11位 | 1’24.207 |
日中は晴れ間も見えたものの午後から再び曇り空となり、ダミーグリッドでも時折パラパラと雨粒が落ちてくる中、気温25度・路面温度29度というコンディションで16時15分にレースがスタート。18番手スタートの山下は混乱を潜り抜けながら2台をかわし16番手へ、23番手スタートのアレジも3つ順位を上げ20番手でオープニングラップを終えた。
山下は4周目までに3つポジションを落としたが、5周目のホームストレートで#53 ブルツ選手を捕らえて18番手へ。アレジは2周目にかわされた#22 松下選手を狙って周回を重ね、9周目のスープラコーナーでイン側に入るとそのままオーバーテイクし、20番手のポジションを取り戻した。7周目あたりから雨が落ち始め、10周を終えるとタイヤ交換のウィンドウが開くが、雨がパラつく不安定なコンディションが続いたため両陣営ともに一旦ステイを選択。
12周目のホームストレートで山下は#37 フェネストラズ選手をパスし、16番手走行中の14周終了でピットイン。タイヤ交換を済ませ20番手(タイヤ交換完了組のトップ)で復帰する。全車のタイヤ交換が完了したのはファイナルラップ。終始マシンバランスに悩まされ、思うようにレースペースを上げられずに苦しんだ山下は14位完走を果たした。
他車のピットインの影響で11番手までポジションを上げていたアレジは22周終了でピットイン。素早くタイヤ交換を済ませ21番手で復帰した。レース終盤はOTSを巧みに使いながら#97 スタナック選手とのバトルを展開し、アレジに軍配が上がるかと思われたが、40周目の最終コーナーでスピンを喫してしまい18位でのチェッカーとなった。
前夜の雨が上がり、雲の隙間から青空も見えるものの湿度は高く、路面にはウェットパッチが残る日曜日。タイヤ交換義務のないスプリントレースで行われる第3戦のグリッドは4月のオートポリスで決定しており、山下は14番手、事前の走行機会がなくレコノサンスラップからマシンに乗り込むぶっつけ本番の野中は15番手からスタート。10時05分、気温29度・路面温度34度のコンディションでレースが始まったが、スタート直後の1コーナーで多重クラッシュが発生。KCMGの2台は巻き込まれることはなかったものの、その大混乱を回避した影響でポジションを落とし、山下は21番手、野中は18番手に後退。すぐさまセーフティカー(SC)が導入された。
SCランは隊列の順位を整えるために長く続き、9周を終えたところでようやくリスタート。21番手走行中の山下はOTSを駆使して果敢な追い上げを見せ、ホームストレートで#50 野村選手と#14 福住選手、ダンロップコーナーで#10 Juju選手、さらにホームストレートで野中をかわすなど次々と前車をパスし17番手までジャンプアップ。一方の野中も、ホームストレートでJuju選手をかわし、激しい展開の中ですぐ後ろに迫った山下の先行を許しながらも18番手をキープした。
11周目、ストップ車両発生でこの日2度目のSCが導入され、14周終了でリスタート。山下はさらにペースを上げ、17周目にトラブル車両をかわし、18周目のホームストレートでブルツ選手、21周目のホームストレートで#4 笹原選手を鮮やかにオーバーテイクし14番手まで浮上。野中も15周目に2台・16周目に1台にかわされたものの、17周目にトラブル車両をパスし#19 オサリバン選手との見応えのあるバトルを展開。21周目の最終コーナーで一瞬の隙を突いて福住選手をオーバーテイクし19番手へ。ファイナルラップの1コーナーで1台の先行を許し20番手でチェッカーを受けたが、集中力を切らさず走り抜いた。
レースは山下が14位・野中が20位でチェッカー、その後の他車ペナルティ等により順位がそれぞれ1つずつ繰り上がり、最終的には山下が13位、野中が18位で完走を果たした。
午前の第3戦決勝終了から約3時間半、今大会を締めくくる第7戦のフォーメーションラップが15時35分から始まった。気温29度・路面温度36度。ところが、他車にギヤボックスが割れるハプニングが発生してスタートはディレイに。コース上のオイル処理が終わると16時20分からSCランでスタートし、5周終了でSCがピットロードへ、ここから実質のレースが始まった。7番手スタートの山下は1台の先行を許して8番手にドロップ。トラブル車両のリタイアで20番手スタートとなったアレジは、1コーナーで#28 小林利徠斗選手をかわし19番手にポジションを上げた。
10周を終えるとタイヤ交換のウィンドウが開くが、KCMGの2台はまずステイアウトを選択。20周終了のタイミングでマシントラブルの予兆を抱えながら周回を重ねていたアレジのマシンに突発的なトラブルが発生し、緊急ピットインを余儀なくされガレージへ。チームは懸命の修復作業を行い4周遅れで再度コースに送り出したが、改善が見られないと判断。安全面を最優先に3周回したところで再びピットインさせ、無念のリタイアを決断した。
一方、粘り強い走りを続ける山下は他車のピットインの影響で3番手まで浮上した26周終了でルーティンのタイヤ交換を敢行し、15番手で復帰。全車のタイヤ交換が完了したのは28周終了のタイミング。13番手走行中の山下はここから猛烈な追い上げを見せる。29周目のホームストレートで#3 ブラウニング選手、34周目のスープラコーナーで松下選手、40周目のホームストレートで#38 阪口選手と華麗にオーバーテイクを決め、遂にポイント圏内の10番手まで浮上。そのままチェッカーを受け、第2戦以来の貴重なチャンピオンシップポイントを獲得した。

第6戦 決勝(土曜/41周)
| Pos | No | ドライバー | 備考 |
|---|---|---|---|
| 14 | #8 | 山下 健太(Kenta Yamashita) | マシンバランスに苦しむ展開 |
| 18 | #9 | ジュリアーノ・アレジ(Giuliano Alesi) | 40周目・最終コーナーでスピン |
第3戦 決勝(日曜午前/オートポリス代替戦・25周)
| Pos | No | ドライバー | 備考 |
|---|---|---|---|
| 13 | #8 | 山下 健太(Kenta Yamashita) | 他車ペナルティにより1つ繰り上げ |
| 18 | #9 | 野中 誠太(Seita Nonaka) | ぶっつけ本番で完走/他車ペナルティで繰り上げ |
第7戦 決勝(日曜午後/41周)
| Pos | No | ドライバー | 備考 |
|---|---|---|---|
| 10 | #8 | 山下 健太(Kenta Yamashita) | 第2戦以来のポイント獲得(1点) |
| DNF | #9 | ジュリアーノ・アレジ(Giuliano Alesi) | マシントラブルによりリタイア |
予選はクルマのパフォーマンスが足りていない部分も多く、もっとたくさんチームと仕事をしていく必要があります。
決勝は第6戦のペースは良いところもありました。しかし、第7戦ではレコノサンスラップからデータに少しおかしな兆候があり、レース中も不具合が出てしまったため、安全を考慮してリタイアを決断しました。クルマの状態も含めて、一度リセットして考えた方がいいかもしれません。
次の菅生はリズムもよく、スーパーフォーミュラ・ライツの頃から大好きなサーキットです。スーパーフォーミュラのクルマは非常に繊細ですが、ピットウインドウを活かしていけば、次こそはうまく行くと思います。
第3戦はSCが長く、もう少し走りたかったというのが正直な感想です。久しぶりに乗るクルマで、今回はレコノサンスラップしか走っていない中での決勝となりました。スタート直後の1コーナーで前方にアクシデントがあり、それを避けるためにポジションを落としてしまいましたが、限られた周回の中でマシンの特性に自分のドライビングを合わせるのは容易ではありませんでした。
スピードへの慣れはあったものの、クルマのバランスにアジャストするのが非常に難しかったです。ここまでいろいろな経験をさせていただきましたが、今は悔しさが残っています。この短いレースを経験したからこそ、「もっとこうしたかった」という思いはますます強くなりました。
自分の目指していた憧れのカテゴリーだったからこそ、いつかまた、ちゃんとした形で戻って来たいです。応援ありがとうございました。
なかなか結果に繋がらない中でも、100パーセントすべてがダメというわけではなく、ここから少しでもよくできる可能性や光が見えたレースウィークでした。ただ、基本的にはレースをするレベルではまだ置いて行かれていると思います。
レースペースは悪くなかったものの、ストラテジーを考慮する必要性も感じました。クルマを総合的によくしてあげられていないのが大きな課題です。人がレースを作っているので、今後もしっかりと人を育てながら、ドライバーたちの努力が報われるように頑張っていきたいと思います。
スポーツランドSUGO[宮城県村田町]/2026年8月8日(土)〜9日(日)
第7戦での確かな手応えを追い風に、後半戦の巻き返しへ。次戦は東北の名門・スポーツランドSUGOで開催される第8戦。KCMGは富士で見えた光をさらに大きくするべく、テクニカルなSUGOで挑戦を続けます。
ファンの皆様の温かい応援をよろしくお願いいたします。
第6戦のウェットの予選はダメな理由を突き止められないまま終わってしまいましたが、ドライとなった第7戦の予選はテストの結果を活かせてよかったです。予選7位はこれまでなかったので。
第6戦の決勝は18番手からスタートして、予選で沈んだランキング上位勢の中で走ってペースは悪くなかったと思います。14位でまずまずのフィニッシュでしたが、タイヤ交換のタイミングがもっと早ければ良かったと思います。
第3戦の決勝はスタート直後に目の前でクラッシュがあって、あたらなくてよかったです。ほぼ最後尾まで落ちたのですが、そこから4台くらい抜けました。前のレースを完走できていたのでセットアップを活かせました。
第7戦の決勝は週末を通してフロントタイヤの温まりがよくなく、ピットのタイミングをもっと早くしていれば展開が違ったと思います。遅いクルマの間に入ってしまい、ペースを上げることができませんでした。
しかし、戦う上でいろいろ足りていない現状です。ペースがなくても上位にくるライバルたちのような強さはないです。テストからクルマをしっかり見られたのはよかったので、次の菅生に繋げたいと思います。